さいちゃん、銀行辞めたってよ

未来を模索する経理マンの日常。元銀行員。時々音楽と転職の話。

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女性専用シェアハウス運営会社「スマートデイズ」の破滅とスルガ銀行の失墜

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事件だ。これは大事件。

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズ経営破綻の衝撃はかなり大きい。

なぜかって、私も銀行員時代に審査を担当したことがあるからだ。

 

胸騒ぎがする。さすがに触れずにはいられない。

正直「進撃の巨人」の最新刊読んだ感想語りたかったけどもうそれどころではなくなった。

今回はシェアハウスの運営会社の破滅とそこに多額の融資をしていたスルガ銀行について追って説明していく。

 

「シェアハウス」とは何なのか

 

  

私も初めてシェアハウスの案件が自分に飛び込んできたときは、聞き覚えのあまりない言葉になかなかイメージがつかなかった。

 

シェアハウスは、リビングや台所、浴室などを共有し、各住人の個室をプライベート空間とする共同生活のスタイルである。もともと、ファミリータイプの2LDK - 4LDKや一戸建てを節約目的で複数人で賃借する発想から生まれた。近時、共通の趣味を持った入居者を事業者が募ったり、事業者が多様なサービスを提供するシェアハウスが誕生し、人気を呼んでいる。

 

                           (wikipediaより引用)

 

と、あるが、イメージ的には「寮」を思い浮かべると近いかもしれない。

リビングや台所、浴室は共同だが、部屋は別々ということだ。

テラスハウスのような華やかなイメージではないと思うが、一つの「ハウス」を「シェア」することにより共同スペースが多く生まれる為、通常のアパートよりも安く借りられるというのが売りだ。

1部屋6畳程度と狭いのだが、新築で綺麗な部屋が多く、壁紙もお洒落に選べるようになっていた。

 

かぼちゃの馬車とは~ベッキーのCM出演

 

  

「かぼちゃの馬車」はスマートデイズが運営していた女性専用シェアハウスの名称のことだ。ちなみにこのかぼちゃの馬車、なんと不倫で地に落ちた「ベッキー」の復帰CMだった。

スマートデイズは事業が急拡大していけいけの頃だった。CMとは会社の顔でありイメージになる。なぜそこで不倫のイメージが全く払拭できていない状態のベッキーを起用したのか、その真意は不明だ。

何か事業にやましいことがあり、世間にバッシングを受けたベッキーを自虐的に自社のCMに起用したのだとしたら、結果的に破滅した今、まさにイメージ通りになったわけだが...。

 

かぼちゃの馬車は東京を中心としていた。女性専用のコンセプトも、「地方から東京に出てくる若い女性」をターゲットにしていたようだ。

 

 

スマートデイズとビジネスモデル

 

スマートデイズ(当時はスマートライフという名称だった)は平成24年8月に資本金300万で設立した会社だ。シェアハウスブランドを急拡大させ、わずか5年で資本金を21億に増やした。

ビジネスモデルは通常のアパート経営とそんなに変わらない。

 

①シェアハウスをオーナー(多くはサラリーマン)に建てさせる。

②そのシェアハウスをスマートデイズがオーナーから借り受ける。

③入居者はスマートデイズに家賃を払う。

④スマートデイズは入居者からもらう家賃の範囲内で、オーナーにお金を支払う。

 

少し具体的に話すと、家賃5万、入居者10人だとスマートデイズの収入は月50万だ。

オーナーに支払う金額を8割程度の40万にしていたとすると、その差額の10万がスマートデイズの利益になる。

 

オーナーは銀行からお金を借りてシェアハウスを建てる。

上の例でいくと、毎月の融資の返済金が30万なら、40万もらって30万払うわけだから10万がオーナーの利益というわけだ。 

 

だが、オーナーは銀行から億単位でお金を借りることになる。

東京で土地を買いシェアハウスを建てるのはそれほどお金がかかるからだ。

 

オーナーが融資を受けるリスクを受けてまで、スマートデイズのビジネスに乗るのは理由がある。いわゆる不動産投資というものにつきものだが。

 

サブリース契約とその破滅

 

それがサブリースというものだ。

オーナーはシェアハウスをスマートデイズに貸し、スマートデイズからお金をもらう。

つまり、入居者が入っていようがいまいが必ずスマートデイズから賃貸料をもらうことになっている。

これがミソ。アパート経営で一番大事なことは、まず入居者が入ることだ。

 

オーナーは「入居者が入らないのではないか」という不安を払拭できる。勿論、自分で運営できるのなら入居者から満額の家賃を貰える訳だからそれが一番いい。

 

だが煩わしいハウス管理もしなくていいし、入居者が入らなくても家賃をもらえるのだから、多少の金額をスマートデイズに払っても良いという人が多い。

 

しかしそれは入居者が入ることで成り立つ話だ。

 

今回、シェアハウスを短期間で濫立させ入居者を埋めきれず、スマートデイズがオーナーに賃料を払うことができなくなった

 

そして多額の借金を抱えるオーナーが銀行に返済できなくなり、この問題が連日ニュースで取り上げられる問題と化したのだ。

 

スルガ銀行の墜落

 

 

問題は、この被害にあったオーナー達が借りていた銀行の大部分がスルガ銀行であったことだ。

スルガ銀行は静岡県に本店を構える地方銀行だが、審査が通りやすいことで有名だ。

 

確かに「どこかでお金を借りたいが、貸してくれるのはスルガ銀行くらいなものだろう」と話すお客さんは多かった。

だが今回の問題は、スルガ銀行が審査を通りやすくするために偽りの通帳のコピーを準備するなど、審査書類を改ざんしたという報道もされている。 

 

銀行だって貸せばいいというものではない。営利企業ではあるが、公共性の高い銀行には「貸し手責任」というものがある。

金融庁はこの問題を受け、スルガ銀行に対し緊急検査を始めた。

 

また今回被害にあったオーナーたちは「被害者の会」を発足し、スマートデイズとスルガ銀行に訴訟を起こすことになるだろう。

スルガ銀行の信用は失墜してしまった。

 

終わりに

 

スマートデイズの経営実態はまだ明らかになっていない。

事業が急拡大した裏には何かがあるはずだ。

今後訴訟を通じて少しずつ明らかになっていくかもしれない。

 

また被害にあったオーナーたちは今絶望の淵に立たされている。

スマートデイズとの賃貸契約がなくなるならば、シェアハウスを自分自身で管理し、入居者を募り家賃を確保し銀行に返済していかなければならない。

 

だがオーナーの多くがサラリーマンであり、アパート経営に素人な人たちがシェアハウスを運営するのはかなり困難なものだ。

物件を売却して返済しようにも、返済できるほどの金額にはならないだろう。

自己破産する人も既に出ているという。

 

 

不動産投資というと聞こえはいいが、金額が大きくリスクが高い。

これからアパート経営を考えている人は、そのビジネスモデルがしっかりしているのか、そしてそのアパートは入居者を集めることができる土地なのか、周辺環境等も自分で把握して決断する必要がある。

 

最終的に責任を負うのは自分だ。

どこかへ責任を求めても、被害に合うのは自分なのだから。

 

私も以前シェアハウスの審査を担当したことがあるが、結論を迎える前に退職日がきたため引き継ぐ結果となった。

その審査がどうなったのか、退職した今私は把握していない。

 

願わくば...

いや、私に発言する権利はもうないのだろう。

 

(fin)