銀行を辞めてからもう1年半ほど経つけれど、今まで一切後悔なんてしたことはなかった。命を削りながら仕事をしていた銀行時代とうって変わり、転職先がホワイトだったのも合わさって今の経理という仕事は平穏極まりない。むしろ平穏そのものなのだ。
だがそれと引き換えに刺激はなくなったと言っていい。昔感じていた競争心や自尊心、「誰よりも成果を取って目立ってやる」とギラギラ燃えるような感覚は、自分の中から失われてしまった。でも、それでいいんだと思っていた。私は自ら選んで経理の仕事に就いたのだ。元々簿記会計が好きだった私にとって、今の仕事はかなり向いているとも思う。休みも多く自由に有給を取れるし、毎日定時退社、アフターファイブにカフェに寄って本を読んだりスポーツをしたり、ブログを書いたり家族と触れ合ったり...。平和だ。あぁ、なんて...平和なんだろう。
だが最近、そんな私を脅かしているものが存在する。Twitterだ。
Twitterの魔力に私は今脅かされている。正直今まで適当にやっていたTwitterだが、最近の私はおかしい。狂ったようにTwitterを見ては、狂ったように銀行のことを呟くようになってしまった。
ほんの一例を紹介する。
銀行はお金を貸したくてしょうがないんだが、窓口にふらっと来た事業資金の新規の相談に関しては慎重に対応する。
— さいちゃん@銀行は辞めました (@saichansblog) September 16, 2018
まずプロパーの融資はなく、顧客属性や資金使途は明確に確認した上で、ほとんどは保証協会付融資から検討。銀行もリスクは極力抑えたい。
新規で銀行から直接借りられるところは極稀。
銀行で融資係になったばかりの頃、顧客に融資する際は自分の財布からお金を貸せるかどうかで考えろと習ったのだが、その感覚だと1円も貸しませんと思ったことをふと思い出しました。
— さいちゃん@銀行は辞めました (@saichansblog) September 17, 2018
昔上司とアパートローンの借換で外回りしていた日、昼になったので昼食をどうするか尋ねたら「君が行きたいところどこでもいいぞ!高くてもいい!」と気前良く言うので、私が考えうる一番高い店を選んだ。
— さいちゃん@銀行は辞めました (@saichansblog) September 17, 2018
そして会計が割り勘だった時の衝撃を退職した今でも忘れることができない。
私はいったいどうしたというのだろう。なぜ銀行を辞めた今、銀行のことを思い出しては呟くようになってしまったのだろう。理由を考察してみたところ、0.2秒で答えがわかった。私のタイムラインに、銀行関連のツイートをしまくる一人の女性がいるのだ。
今をときめくブロガー界のアイドル、イケハヤ氏が散々ディスっていた地銀に融資を申し込んだそうですね。
— 藤田華鳳 (Kaho Fujita) (@Kaho_yurucareer) September 15, 2018
金融機関で支店融資と本店審査の両方をかじったことがある自分が考えたことを、そこはかとなくかきつくっていきます。
酔ってるし書き溜めしてないのでのんびりやります。
じゃあいくよ!
イケハヤ氏が地銀に借入を相談しに行った話を炎上させた張本人、「藤田華鳳」氏である。彼女はこの上記ツイートから始まる一連の13ツイートにより、8500RTというバズを起こし一気に3000人のフォロワーを獲得した。
彼女はそれからも金融関連のわかりやすいツイートを連発し、世の人々に有益な情報を発信している。それだけでなく時々おっぱいの話もしているので、尚のこと有益なのだ。
確かに1,000万円を1年で返すなら利息の支払いは30万円ですが、今回は設備資金なので、初回申込と言えど融資可となった場合の返済期間は短くても5年程度になるかと思います。
— 藤田華鳳 (Kaho Fujita) (@Kaho_yurucareer) September 18, 2018
では、1,000万円を金利3%で5年間借りた場合、トータルの利息の支払い額がいくらになるか、パッと計算できますか?
ふと思ったんだけど、女に生まれたメリットなんてイライラした時に自分で自分のおっぱい揉める以外に何かあったっけ?
— 藤田華鳳 (Kaho Fujita) (@Kaho_yurucareer) September 19, 2018
私が最近銀行のことしか考えられなくなった原因は、間違いなく彼女にある。彼女が私の清き平和なタイムラインを脅かしているのだ。そして彼女だけではない。彼女が銀行関連のツイートをすると、最近ほぼ必ず絡んでこられる方がいる。
わずか2日間で8.5万RTという超バズツイートにより、1.6万人のフォロワーを獲得した「オロゴン」氏だ。
借金の連帯保証人について
— オロゴン@お金とライフハック (@orogongon) September 9, 2018
「連帯保証人にだけはなるなよ」と親から口酸っぱく言われてきた人も多いだろうが、あなたは「連帯保証」についてどれだけ理解しているだろうか?
「債務者が金融機関に借金を返せなくなった際に、代わりに返さなくてはいけない人」と認識している人、
それだけでは甘い。
8.5万RTってどうなってるんだ。地元の人口の10倍はあるぞ。
世の銀行員の方々、もっと情報を発信しよう。
— オロゴン@お金とライフハック (@orogongon) September 18, 2018
今回の件で、融資における世間のリテラシーの程度が分かったろう?
みんな「運転資金」の意味すらわかってないよ。
あなたの知識と経験を求める人がこの世界には山ほどいる。
転職にも踏切りがつかぬのであれば、まずは誰かの役に立ってみようや。
この超スーパーバズラーのオロゴン氏もこのように金融、投資関連のツイートを毎日している。非常にわかりやすい解説と、このように多くのフォロワーを獲得した後でもフランクに接しやすい優しい性格から人気の高さが伺える。
さらに、最近こちらの元バリキャリ女銀行員ikeda氏も私の平穏を脅かす危険人物の一人だ。とてもエネルギッシュに銀行の思い出を語ってくるのだ。
入行式で頭取と握手する時間が設けられたのだけれど、握手の前に人事がなにか一人一人に配ってたんですよね。いざ順番きたら除菌シートだった時のなんとも言えない不思議な感覚を私はまだ覚えております。その後法人担当してて会社の社長と握手する時に除菌シート出されたことないお。うちだけやで!♡
— 元バリキャリ女銀行員ikeda 退職済🦍 (@ikeda421) September 19, 2018
やめろ、みんなやめるんだ...。
私がTwitterを見るたびに、この方々が私の昔の記憶を呼び起こしてしまう。私の平和を奪いに来ているのだ。そしてついに、私は以下のようなことを呟いてしまった。
最近銀行の意識高い系ツイート見すぎたせいか昔の「誰よりも成果取って俺が一番目立ってやる」みたいなギラギラした感覚が思い出されてきて、あろうことか銀行でまた働きたくなっている自分がいる。これはマジで異常。自分が恐い。闇が足りないんだ。もっと闇を。もっともっと銀行の闇を見せてくれ。
— さいちゃん@銀行は辞めました (@saichansblog) September 20, 2018
...嘘だ。信じられないことを呟いている。自分の意思で銀行を辞め、自分の意思で今の仕事をしている私がこのようなことを呟くわけがない。銀行を辞めた人間が銀行にまた戻ろうと思うなんて異常にもほどがある。一瞬でもそう思ってしまった自分が信じられない。
タイムラインで活き活きと金融の話を見せ付けられたら、否が応でも昔を思い出してしまう。だがなぜだろう。なぜこんなに楽しいのだろう...。なぜ夢中になってTwitterを見てしまうのだろう。この中毒性は、いったいなんなのだろう。私の平和が戻る日は訪れるのだろうか。
余談だが、藤田華鳳氏は最近一気にフォロワーを獲得したけれど、私は彼女がフォロワー100人くらいのことから相互フォローの関係にある。
最近はフォロワーを増やそうとインフルエンサーに積極的に絡もうとする人も多く見られるが、忙しいインフルエンサーから目をつけられるのは簡単なことではない。インフルエンサーになった人に絡みだすのではもう遅いのだ。
フォロワーを数多く獲得し、将来インフルエンサーになりうる人を見つけ出す嗅覚を養うべきだ。私は以前から藤田氏は面白いと思って目をつけていた。嗅覚を最大に活かした結果だ。さて、今回特別に、この嗅覚の秘訣を無料で公開しようと思う。
本来なら有料にしてもいいくらいの内容なので、正直無料で公開するのは惜しい。だが私も世のため人のために、有益な情報を公開したいのだ。だがダラダラと書くつもりはない。端的に語ろうと思うが、あまり聞きなれない言葉なので心して聞いてほしい。
「運」っていうんだけどね。
(fin)