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授業中にデスノートを読んでいた男の悲劇と末路

前にも書いたが、中学の頃の私は他に誰も聞いていないような先生の授業でも真面目に受けていた。クラスのみんなも私のことは真面目な人間だと思っていたと思う。

 

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だけど高校に進学してから私は変わって、授業を有意義に過ごしたいと思うようになった。高校では受験に必要ない科目も多くあったし、まともに聞いてもしょうがない先生も多くいた。独自の嗅覚を最大限に発揮し「この先生ならいける」と判断した教師の授業はそれはそれは有意義に過ごしたものだ。世界史Aの時間には「はじめの一歩」、現代社会では「アイシールド21」、保健の授業では「デスノート」。つまらない授業も全てが天国に変わった。

 

ある日の保健の授業中、そんな私に一つの悲劇が起きた。私の席は一番後ろの一番右側という最高の席を確保しており、いつものようにデスノートを見ていた。その日の保健の授業は「性」についてのテーマだった。興味津々な生徒も大勢いたと思うが、私はデスノートの続きを読むのに忙しかった。授業中、興奮したのか何なのか知らないが私の前の前の席の男子が鼻血を出した。まさかこのテーマの時に。先生がいじるタイプの先生で、しかもその生徒もいじられキャラだったのも相まってクラスはドッと笑いが起きた。

 

私はその間も下を向いてデスノートを読んでいた。デスノートを読むのには思いのほか頭を使うので集中力がいる。それでもクラスで何が起きているかは何となくわかった。よりによって性の授業で鼻血を出すなんて可哀想な奴だな、なんてことを思いながらライトとミサミサが目隠しされて尋問を受けているシーンを読んでいた。

 

私の前の席にはクラスでもけっこう可愛い子が座っていて、その女の子の前で鼻血を流している生徒を先生が「○○ちゃん、その辺気をつけて!危ないから!色々と!」といじりながらクラスは笑いの渦に包まれていた。

 

あぁ、ここまでくると鼻血男も不憫だな、可哀想に。なんて同情を抱いていた時だ。私の鼻から一筋の赤いものが流れた。最初は何が起きたかわからなかった。鼻から流れるものを手で拭いた。手が赤く染まった。それは確かに血だった。まごうこと無き鼻血だった。

 

私は慌てふためいた。そしてその流れる血を止める術を私は知らなかった。手元にティッシュもない。ミサミサを見ている場合ではない。さらに悲劇は起きた。先生に鼻血を出していることが見つかった。「おい、お前もかどうした!?○○ちゃん、間に挟まれてヤバイよそこ!早く逃げて!」クラスの笑いは絶頂を迎えた。

 

私は恥じらいながら急いでトイレに駆け込み、ようやく鼻血は止まった。この短い時間に何が起きたのか、私の頭はまだパニックの渦の中にいた。現実を受け入れることができなかった。何故鼻血が流れたのかわからなかった。どんな顔をしてクラスに戻ったらいいのかもわからなかった。

 

「あれは血だったかもしれないし、血じゃなかったかもしれない」

一瞬そんな村上春樹的受け流しを考えたが、クラスに通じるとは到底思えない。だが別に真面目に性の授業を聞いていて鼻血を流したわけではない。そうだ、私はデスノートを読んでいたのだ。何を恥ずかしがることがある。私は授業中にデスノートを読んでいたのだ!授業中に!!漫画を!!!だから堂々としていればよいのだ。

 

例え私がクラスでいじられても、今の私なら大丈夫だ。「いやぁちょっと、ミサミサのコスプレに興奮してさ」なんて冗談で全てが吹き飛ぶ。私がデスノートを読んでいた証明は隣の奴に頼もう。彼なら知っている。隣でいつも私を見ていたはずだ。

 

だが彼は何も喋らなかった。頑なに何も話さなかった。彼のメガネは遠くを見ていた。ただただ真っ直ぐ遠くを見つめていた。私は女子に鼻血をからかわれた。デスノートを読んでいたと話しても信じてくれなかった。

 

「ちょwミサミサに興奮しちゃ駄目だよw」とは言われたが「ちょw本当は変なこと考えていたくせにwwww」と心の声がはっきりと聞こえた。私は隣の彼に救いの眼差しを向けたが、彼は曇ったメガネで真っ直ぐにただただ遠くを見つめているだけだった。今まで生きてきた人生で、彼だけはどうしても赦すことができない。

 

私に陵辱を与えたのは彼だ。彼が全て悪い。私がデスノートを読んでいたことを証明してくれなかった憎き彼だ。憎きメガネだ。いいや、本当はわかっている。授業中に真面目に話を聞かずデスノートを読んでいた私が悪い。わかっている。だが本当に私が悪いのだろうか。悪いのはミサミサではないか。ミサミサが原因だ。いや、やはりそれも違う。何も悪くない。誰も悪くない。

 

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ミサミサ~戸田恵梨香ver

 

こんなミサミサがいたらと思うと、鼻から流れる血の一筋や二筋、何も恥ずかしいことなどないだろう?

 

(fin)

 

 

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