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紳士すぎる僕が会社の後輩の女の子と二人きりで飲みに行ってきた結果

先日、会社の後輩の女の子に飲みに誘われた。たまたま仕事終わりに駅までの帰り道で一緒になり、たわいもない会話(「キャバ嬢のドレスは意外に安いって話知ってる?」「昨日僕が見たUFOの話を聞いてほしいんだ」...etc)を繰り広げて大いに盛り上がったところで、彼女から「あはは(笑)実は以前仕事で少しお話させてもらった時、すごく面白かったのでもっとお話したいと思ってたんです!よければ今度飲みに行きませんか?」と言われたのだ。

 

平凡な日々に一筋の光明が差し込み、そうかモテ期はこうして始まるのかと一種の感慨深ささえ感じたけれど、こう見えて僕は既婚者であるため女性と二人きりで飲みに行くというのはいささか抵抗がある。

 

およそ2秒ほどだろうか。長い長い熟考の末、「お、いいねー。行く行くー。あ、とりあえずライン教えて?」と重々しく返答をさせて頂いた。

 

すると彼女は「ごめんなさい。私携帯持っていなくて...」とまさかの返答。

誘ってきたのにそんなことある?

完全に想定の範囲外でひどく狼狽せざるを得なかった。

 

なるほど、ラインを断るには今の若い子は携帯持っていない作戦を取るのか...斬新な...でも俺誘われたのに...むしろ喜んで教えるところじゃないのそこ?あぁそうか、お誘いもポーズかなんかで本気ではなかったのね。オッケーオッケー。そんなの逆に想定の範囲内だわ、いや嘘だよ、本気であってくれよ。こっちは本気にしたんだから、責任取れよチクショウチクショウあああああああああああ。

 

と、思考回路が混乱を極めたところで、彼女から

「実は一昨日まで一人でスイスに旅行していて、そこでスマホを盗まれてしまったんです。今は保証制度を使って携帯会社に代替のスマホを頼んでいるところで、2日後にはスマホ届くと思うのでその時改めて交換させてください!あ、でもIDはお伝えしておきますね」

と、これまた想定の範囲外に興味惹かれる話題をぶっこまれた。

 

一人でスイス行ってたの?

スマホ盗まれたの?海外で?一人で?

え、スマホ無くなってよく一人で帰って来れたね?

 

と次から次へと疑問が思い浮かび、僕はすっかり彼女の虜になってしまった。なるほど、今時の女の子はこれほど引き出しを用意してから誘うのか...といたく感心したのである。

 

二人きりで飲みへ 

 

さて、そんなわけで無事スマホが復活しラインの交換が出来た僕は彼女と飲みに行って来た。ぶっ通しで6時間飲み続けてずっと話してた。

 

日頃ブログやツイッターで、豊富な知識やあらゆる分野に対する造詣の深さを見せつけている僕が、女性と二人きりで飲みに行くとどんな知的な会話をするかは容易に想像はつくと思う。

 

「少子高齢化と老老介護問題」、「教育問題と教員の労働実態」、「税と昨今の社会保障制度」、「待機児童問題、女性と労働」

 

などなど、日本が抱える数々の社会問題について一言たりとも話さず、彼女がどれくらいの男性経験があるのか把握するのに全神経を注いでいた。

 

彼女は言った。

「引かないでくださいね!私今一年半ほど彼氏がいなくて、ここ一年くらいで10人くらいの男の人と遊んでました!」

 

僕は勿論全然引かなかった。10人と言う数字は確かに多いのかもしれないが、彼女は現在25歳でまだ若く、多くの男性を経験し最終的に自分の理想とする素敵な男性と巡り合えればいいと思う。

 

だから僕は言った。

「なぜ僕をその10人に入れてくれなかったの?」と。

 

勿論冗談だ。いかにたとえ一瞬でも心の中で思っていようとも、それを冗談と言う名の空気でオブラートに包めるくらいには僕の頭はまだクリアだった。

 

彼女はそれから色々なことを語ってくれた。学生時代に好きだった男の子と両思いだったのにも関わらず様々なしがらみで結局付き合えず、大人になった今も実は忘れられずにいるのだと。だがその男性の親友と先日ひょんなことから飲みに行くことになり、帰れなくなった彼をしょうがなく家に泊め、そして一夜の過ちを犯してしまったのだと。

 

「もう、私って最低ですね。でも誤解しないでください!私遊ぶといっても体の関係とかはほとんどないんです!純粋なデートで終わってます。でもあまりまだ惹かれる人がいなくて。さっきの話も、自分でもそういう流れになったのに驚いて。ワンナイトなんてのは初めてでした。あの件はもう、お互い忘れようという話になってます。なんかもう後悔しかないです。もう簡単に、股は開かないようにします!」

 

と、聞いてもいないのに堂々と股開かない宣言をされた。

まくし立てられる彼女の言葉に圧倒されながらも、その言葉を聞いて受けた動揺と多大なるショックを隠せず、僕はただ飲むしかなかった。

 

酔いが回ってくる。転職してから飲み会が減りアルコールを摂る機会が減ったため、最近の僕はお酒にまったく強くない。酔いのせいか彼女の顔が段々と北川景子に見えてくる。

 

「君は北川景子に似ているね?」と聞くと「え?佐々木希か小池徹平ならよく言われるんですが、北川景子は初めてで嬉しいです!」と言われて気づいた。あ、言いたかったのは佐々木希だったわ。完全に酔ってる。小池徹平はピンと来なかったが確かに佐々木希に似ている。超かわいい。佐々木希超かわいい

 

それから話は盛り上がる。仕事が暇な時ブログ書いてる話をぽろっとすると、

「え!?文章書かれるんですか!?私も実は、もう言っちゃいますけど、自分で小説書いてるんです!」とか言い出す。

 

なんだなんだ、自分で文章書いちゃう系女子を僕が大好きなのを君は知っていたのか?

彼女は元々出版社志望だったが就活に失敗し今の会社にいるらしいのだが、でもよくよく考えてみれば自分がやりたいのは編集などの仕事ではなく自分が発信する側がいいのだと。だから少しずつ小説を書いているのだと。才能はないと思うけど、文章を書くのが好きなのでいつか何らかの形で公表したいのだと。

 

「今度小説読みに来て下さい!あまりこういう話できる人いなくて嬉しいです!感想を聞きたいです!」

 

もうノリノリだ。佐々木希が完全にノッている。

 

気づいたら終電の時間を越えていた。タクシーで帰らなければ。

彼女がお手洗いに行っている間にさっとお会計をする最低限度の紳士の所作を滞りなく済ませ、「そんな、申し訳ないです!私も払います!」と食い下がる彼女に「ここはいいから、その代わり次回スタバ奢ってね♪」と罪悪感を消し去る魔法の言葉を唱えた。

 

いくら酔ってても完璧な紳士だ。間違いない。終電は逃してしまったけれど、最後の最後まで紳士だ。

 

そして彼女を家まで送り届ける。紳士だ。

 

そして彼女は言う。

 

「あの、よかったら、家に寄って行かれませんか?小説読んでもらいたいですし...」

 

紳…

 

 

 

...今何と!?

 

 

言葉を反芻する。

 

「あの、よかったら、家に寄って行かれませんか?小説読んでもらいたいですし...」

 

光の速度で頭を回転させる。無数の選択肢が僕を混乱させる。

 

彼女の家に、

行くか、行かないか。

行くか、行くしかないか。

行くか、行かなきゃ駄目か。

行くか、行かないといけないか。

行くか、行きたくてたまらないか。

行くか、行くか。

行くか、行くか、行くか。

go? or must go?

 

きたこれ。完全にきた。

よし、行こう。小説を読みに。

ジャンルは官能小説に違いない。小説をより正確に美しく描写するためのお手伝いをしに行こうじゃないか。

 

だがここで飲み屋での彼女の言葉が蘇る。

 

「もう簡単に、股は開かないようにします!」

 

彼女は確かにそう言っていた。そして僕は思い出した。僕は紳士だと。

それに明日は仕事だ。僕は帰らないといけない。もう時間も遅い。帰らないといけない。

彼女が股を開くのか開かないのか、確かめている場合ではない。

 

苦渋の選択だった。僕は帰る決断をした。

 

誤解しないでほしい。僕は心から、彼女の小説が読んでみたかった。

それ以上でもそれ以下でもない。

ただそれだけだ。たぶん。

  

 

ちゃんと帰ってます。繰り返します。

僕は紳士です。紳士の潔白の記事です。