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【史上初のミステリランキング3冠】『屍人荘の殺人』を読んだ感想【ネタバレなしレビュー】

ずっと読みたかった『屍人荘の殺人(しじんそうのさつじん)』をようやく読むことができました。この本は著者である今村昌弘のデビュー作ですが、「このミス」「週間文春」「本ミス」ランキングで1位となり、デビュー作でミステリランキング3冠達成したのは史上初とのことです。

 

屍人荘の殺人

屍人荘の殺人

 

 

『屍人荘の殺人』の快挙

 

*第1位『このミステリーがすごい! 2018年版』国内編 
*第1位〈週刊文春〉2017年ミステリーベスト10/国内部門
*第1位『2018本格ミステリ・ベスト10』国内篇
*第18回本格ミステリ大賞〔小説部門〕受賞作

 

私も「このミス」1位の作品は極力読むようにしているのですが、有名どころでいうと東野圭吾の「容疑者Xの献身」や伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」、宮部みゆきの「模倣犯」などが過去1位を獲得しています。

 

内容については、正直何を言ってもネタバレになってしまうのですが、ネタバレがないように感想を語りたいと思います。まずは、本の背表紙にあるあらすじから紹介します。

 

あらすじ

 

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、いわくつきの映画研究会の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子と共にペンション紫湛荘を訪ねた。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、想像しえなかった事態に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
緊張と混乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!! 究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り、謎を解き明かせるか?! 奇想と本格が見事に融合する選考員大絶賛の第27回鮎川哲也賞受賞作。

 

【ネタバレなし感想】

 

はい、というわけでこのあらすじの書き方もうまいですね。想像しえなかった事態とはいったいなんなのか、それだけでもう読みたくなります。以下、私が面白いと感じたポイントを5つほど述べていきます。

 

①設定や登場人物が面白い

 

最初の方は、大学のサークルが夏合宿をするという一見ありきたりなミステリ小説です。想像し得ない事態により通常とは大きくかけ離れてしまうのですが、登場人物が特にユニークです。ミステリ愛好会の会長であり神紅大学のホームズと呼ばれる明智恭介や、同じく愛好会メンバーの葉村、数々の何事件を解決に導き、かつ相当な美人である剣崎比留子、彼らの個性や背景も独特です。物語を読み進めるうちに、悲しい過去を持っていることがわかったり、直接悲劇の事態に巻き込まれていきます。

 

また、合宿に次々と登場してくるメンバーはなんと美人ばかり。この美人ばかりと言う設定も後に理由がわかるのですが、美人が今まで周りにいなかった葉村も戸惑います。

 

②想像しえなかった事態とは何なのか 

 

この本にも頻繁に出てくる言葉なのですが、「クローズドサークル」、つまり何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件が起きます。その何らかの事情と言うのがまさに想像しえなかった事態。この作品の凄い所は、想像しえなかった異常事態とミステリを見事に融合させているのです。

 

この事態に陥り、登場人物の葉村や剣崎たちは警察を呼ぶことはおろか携帯も使えなくなり助けも呼べません。外にも出ることはできない。葉村たちは紫湛荘という、大学のOBの親が所有するペンションに立て籠もります。外に出たら恐ろしいことになるからです。その事態とはいったい何なのか想像できるでしょうか。現実的にはありえないことですが、それが物語で起きてしまうのです。

 

③外界で起きる異常事態の中、館内で起きる殺人事件

 

外は異常事態です。葉村たちはパニック状態、精神状態も異常だったでしょう。ですが、そんな中1日目の夜を各々過ごし、夜が明けると...

 

メンバーの一人が惨殺されていたのです。

 

外で未曾有の恐怖事態が起きているというのに、中でも異常事態が発生します。そしてこの殺され方が尋常ではありません。それが外の異常事態と密接に関連してきます。さらにこの恐怖は殺人事件の始まりに過ぎなかったのです

 

④ミスリードに騙される

 

当然この物語、ミステリなので犯人が存在します。館内で起きる殺人事件の犯人はいったい誰なのか。私もせっかくなので犯人を考えながら読み進めました。しかし、結果的にはミスリードにまんまとはまってしまいました。ミスリードとは、「人を誤った方向へ導くこと。 誤解させること」を言います。途中、犯人と思われる人物の胸中が語られる箇所があります。もちろん誰が言っているかはわからないのですが、問題はその内容です。

 

その内容により、まさか犯人は思いもよらなかったあの人なのか?と、読者に犯人を絞らせます。その内容により、私は犯人を二人に絞りました。そして最後の最後まで、騙されました。結論的にはその二人ではなく全く違う人物、まさに想定外の人物が犯人だったのです。

 

⑤続編が期待される

 

これは、ほぼ間違いなくシリーズ化するでしょう。それは冒頭とエピローグを読めばわかりますが、続きがあるような含みがあります。それは物語の中で解き明かされなかったこともあるからです。

 

終わりに、感想

 

読み終わった感想ですが、正直めちゃめちゃ面白かったです。全部で306ページありますが、続きが気になって一夜で一気に読んでしまいました。

 ↑思わずツイートする私

 

タイトルの『屍人荘の殺人』。なぜあらすじに紫湛荘(しじんそう)とペンション名を書いているのに、タイトルは違う漢字が使われているのか...。

色んな人が感想をネットなどで述べていますが、是非、ネタバレする前に読んでください!タイトルの意味、そして想像しえない事態が何なのか、犯人はいったい誰なのか、その目で確かめてほしいです。