さいちゃん、銀行辞めたってよ

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親友のお姉さんにtwitter上で恋をして、人知れずフラれた話。

僕には唯一無二の親友がいる。女性なのだけれど、趣味、好きな音楽、考え方、間、フィーリング、笑いのツボなど、すべてが見事なまでにマッチしていて、これほどまでに気が合う人とはこれから先も二度と出会えないだろうと思う。 

 

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以前この記事にもその友人との出会いを少し書いたけれど、彼女と過ごした時間はあまりにも濃密で、半端な気持ちでは書ききれないのでいつかじっくり時間をかけて彼女との話は書きたいと思っている。しかし今日は、その友人のお姉さんの話をしたい。

 

お姉さんとの出会い

 

当時僕と親友は大学生で、毎日のようにtwitterで互いのツイートにリプライを飛ばしあっていた。どちらがいかに面白く返し、センスあるリプライを送ることができるのか。意地とプライドをかけたその馴れ合いのような戦いは、僕らにとって大学の単位よりも遥かに重要だった。最終的にどちらが面白かったかはわからない。勝利を判定する審判はいなかったからだ。

残念ながら、そんな輝かしい青春のツイートの数々はもう残っていないけれど、互いに思い出として心に残っていることと思う。

 

そんなtwitter上でも仲が良かった僕らであったが、そこに突如として現れたのが彼女のお姉さんだ。いや、突如というのは適切ではない。むしろお姉さんは僕よりも前からずっとtwitterにいて、彼女と仲良さそうに会話をしていた。そしてその会話の内容から、実のお姉さんということがわかった。

 

唯一無二の親友の、お姉さん。その存在が、僕にとってけして小さいものではなかったことは想像に難くないだろう。僕とtwitterで馴れ合う一方で、お姉さんと楽しげに会話している親友。そして面白い彼女の姉だけあって、お姉さんも相当面白かった。さらに面白いだけでなく、(。・ω・。)★ とか |ω・)ミテマスヨ とか、かわいい系の顔文字を多用していた。それまでの僕にはまったくもって縁のなかった顔文字の類だった。部屋ではリクガメを飼っていて、それをかわいがるツイートがまた愛らしかった。

 

お姉さんへの恋心

 

人は自分にないものを求めると言う。自分にあるものをたくさん持っている親友と、自分にないものをたくさんもっている親友のお姉さん。僕にとって、なんて素敵な姉妹なのだろうと思った。

僕は日に日に、お姉さんを気になる度が増していった。民法の講義を受けている時、バイトでハンバーガーを作っている時、ドラえもんから頼まれてどこでもドアの改良をしている時、どんな時も僕の頭の中にはずっとお姉さんがいた。自分でお姉さんのイメージを完全に作り上げていた。

 

親友は細身で背が高く美人だったので、お姉さんも美人だろうとイメージしていた。しかし話を聞く限りではあまり似ておらず、背は低くてふわふわ系のかわいいタイプだそうだ。なんだ、最高じゃないか。好きだ。

 

僕はtwitterでお姉さんにリプを送ってみることにした。親友を通して互いの存在を十分に知っていたので、リプを送るとすぐに仲良くなった。以前は「僕と親友」「親友とお姉さん」でのやり取りが、「僕と親友とお姉さん」になった。「部屋とTシャツと私」くらいしっくりきた。

 

僕とお姉さんはすっかりtwitter上で仲がよくなり、親友がいない時にもよく話していた。僕はそのふわふわ系のお姉さんにすっかりめろめろになっていた。だが会ったことはない。

 

お姉さんは理系の大学を卒業し、大手メーカーでSEとして働いていた。ふわふわ系のイメージと、SEとしてバリバリ働くそのギャップにもやられた。かわいいのにかっこいい。最高すぎる。だが会ったことはない。

 

親友はそんな僕を面白がるように、少し離れたところから傍観していたように思う。僕が何度頼んでも、写真の提供を拒否していた。イメージはイメージのままが一番美しいのだと、にやにやしながら拒否していた。僕とお姉さんの恋路を邪魔する劣悪な存在だったことは間違いない。

 

大学卒業後

 

僕が大学を卒業して就職してからも、twitterで交流する日々が続いた。どんなに苦しい時も、お姉さんがいれば穏やかな気持ちになれた。あれは「恋」という感情以外に表現しようがないだろう。

 

しかしある日突然、別れが訪れた。僕が不治の病にかかったわけでも、ネット環境のないアフリカのどこかのジャングルをさ迷っていたわけでもない。ただ、お姉さんが僕のフォローを外していたのだ。 

最初は何かの間違いかと思って、リプを飛ばしてみた。何かの拍子でフォローが外れただけだと信じていた。だが、いつものように返事はなかった。

 

ドラクエで骸骨に話しかければ「返事はない。ただの屍のようだ」という表記が出てくるけれど、今回に関しては「(お姉さんからの)返事はない...。(僕は)ただの屍のようだ...。」と表記するのが正しいだろう。傍目から見たら僕は白骨化した死体といってもいいくらい、生気を失っていた。

 

理由を親友に尋ねてみた。だが彼女も理由はよくわかっておらず、もしかしたらお姉さんのリアルが忙しくなったり不安定になり、twitterに割ける時間を無くしたんじゃなかろうかと言っていた。僕に少なからず気を使ってくれた回答だったろう。

 

お姉さんのいない世界で

 

僕はそれから魂の抜けた生活を続けていて、気づけばまったくtwitterを見ることを辞めていた。いくら眺めたところで、お姉さんはもう僕の世界にはいないのだ。

 

それから数年後、お姉さんが結婚したことを親友から聞いた。お姉さんの写真はいくら言っても見せてくれなかったけれど、幸せいっぱいに生まれてきた子どもの写真は喜んで見せてくれた。親友と思っていた彼女は人間の顔をした悪魔だった。しかし見せてもらった子どもは、とてもかわいい男の子だった。きっと結婚生活もうまくいっているのだろう。

 

お姉さんは今、どのように暮らしているか僕は知らない。なぜあの時フォローを外されてしまったのか、今となっては真相を知る由もない。何も言わずに離れてしまったことを、僕は恨んだり憎んだりはしていない。きっと僕にも原因があったのだろう。だけどtwitterで毎日のように仲良くしていた日々は僕にとってかけがいのないもので、僕のつまらない灰色の世界をカラフルに彩ってくれていたことは間違いない。

 

だから僕は祈っている。お姉さんの幸せが、これからもずっと続くことを。僕たちは会えなかったし、直接話せなかった。そして完全に離れてしまった僕にはもう祈ることしかできないけれど、人一人の幸せを願うことくらいはきっと、お姉さんも許してくれるだろう。

 

(fin)